この記事のポイント
- 日本で唯一のLXR「ROKU KYOTO」の宿泊記(2025年11月・紅葉シーズン/一泊)
- 高雄・天神川のほとり。“観光する京都”ではなく“静けさに滞在する京都”
- 客室・大理石の浴室・レストランTENJIN・朝食まで、写真たっぷりでレビュー
はじめに ─ なぜ「ROKU KYOTO」なのか
京都のホテルと聞いて思い浮かべるのは、たいてい東山や河原町の街なかではないでしょうか。けれど今回選んだ ROKU KYOTO は、市街地から少し走った高雄(たかお)の山裾にあります。周囲を流れるのは天神川(紙屋川)。名前の「ROKU(麓)」は、文字どおり“山のふもと”を意味します。
このホテルの肩書きは特別です。ヒルトンのラグジュアリーコレクション「LXR Hotels & Resorts」の、日本で唯一の物件。世界にわずかしかないブランドの日本代表が、観光地のど真ん中ではなく、この静けさの中にあること自体が、ROKUの思想を物語っています。
実は今回でオープン当初から三度目の宿泊になります。「人里離れた」静かな環境で贅沢な非日常を味わえること、そしてヒルトン・プレミアムカードの特典「ウィークエンド無料宿泊券」の対象ホテルであることが、リピートの大きな理由です。
これまで初回はプールに接した部屋、二度目は中庭に面した2階の部屋に泊まりました。どちらも優雅に過ごせる素晴らしい部屋でしたが、唯一気になったのが人の視線でした。中庭に面した部屋だと外通路を歩く人の視線が気になり、せっかくの絶景を望む窓際でゆっくりできません(あくまで私見です)。
部屋選びのワンポイント:中庭向きで階を選べる余地があるなら、迷わず4階(最上階)を。今回は無理を言って4階にしていただき、これが大正解でした。
訪れたのは 2025年11月15日〜16日(一泊)。京都がもっとも美しい紅葉の盛りです。到着すると、大きな水盤(リフレクションプール)の向こうに、燃えるような高雄の山が映り込んでいました。


写真の中央右寄りに写っている木にも注目してみてください。これは台杉仕立ての北山杉で、ROKU KYOTOのロゴのモチーフにも採用されている木です(実際にイメージされているのは玄関前の杉の木です)。京都の林業文化を象徴するこの一本が、水盤越しの景色にさりげなく効いています。
アクセスのリアル|公共交通機関はここに注意
市街地からの便は、お世辞にも良いとは言えません。自家用車やレンタカーなら問題ありませんが、公共交通機関だと少し骨が折れます。初回に使った路線バスは地元の足で、大きなスーツケースだと通路を塞いでしまい肩身がせまい思いをしました。
その反省を活かして今回選んだのが、京都駅 →(京都市営地下鉄 烏丸線)→「北大路駅」→ タクシー というルート。電車は約13分、タクシーも10分+αで、これがいちばん快適でした(帰りも逆順で)。
コンセプト ─ 「アーティストレジデンス」
ROKU KYOTOのデザインコンセプトは 「アーティストレジデンス」。江戸初期に本阿弥光悦が営んだ芸術村(鷹峯)に着想を得て、京都の伝統意匠を現代的に再解釈しています。面白いのは、館内の空間ごとに“素材”のテーマが割り当てられていることです。
| 空間 | テーマ素材 |
|---|---|
| 客室 | 唐紙(からかみ) |
| ロビー・パブリック | 漆 |
| レストラン TENJIN | 竹 |
| スパ | 陶 |
平安の昔、この川辺で行われていた紙漉きの歴史も、ホテル名と意匠の背景に流れています。ただ豪華なだけでなく、「土地の記憶」を建築とサービスに落とし込んでいるのがLXRらしいところです。
チェックイン ─ 部屋の準備を待つ、贅沢なひととき
到着したときにはまだ部屋の準備が整っておらず、少し待つことになりました。案内されたのはレストランのコーナー。ここでカフェラテとケーキのセットをオーダーしました。


静かな空間で、美味しいケーキとコーヒーをいただく。これから始まる滞在へのワクワク感と相まって、「待ち時間」であることをまったく感じさせない、いい時間でした。こうしたひとときを心地よい体験に変えてくれるのも、ラグジュアリーホテルの実力だと思います。
客室(424号室)─ テーマは「唐紙」
今回は無料宿泊券を使い、当初はデラックスルーム(ツインベッド/約50㎡)を予約していました。長方形のスタンダードなレイアウトですが、50㎡あれば十分に広く、心からリラックスできます。このホテルの中では最も下のカテゴリーにあたりますが、ホテル自体がラグジュアリーなので“ボトム感”はまるでありません。
ところが当日、空室状況の関係でベッドタイプがツインからキングへ変わり、結果として最上階の プレミアデラックスルーム(キングベッド) へアップグレードしていただけました。ヒルトンステータスはダイヤモンドです。この心遣いには本当に感謝しかありません。落ち着いた木と和紙のトーンでまとめられ、派手さではなく質感で語る部屋です。


ミニバーまわりの作り込みも印象的でした。ネスプレッソ、茶器、スナックが整然と並び、引き出しにはカトラリーやグラスが誂えられています。とりわけ目を引いたのが、湯を沸かす黒い鉄瓶(急須)。細部まで“和のラグジュアリー”で統一されています。


クローゼットも十分な広さがあり、スーツケースを広げても余裕のあるスペースが確保されています。ハンガー類も量・スペースともに申し分なく、冬季で上着などの荷物が多い場合でも余裕で対応できると思います。

そして何よりの贅沢は、窓の外です。紅葉に染まった高雄の山と水盤が、部屋にいながら一枚の絵のように広がります。窓際にはカウチソファがあり、京都の山をゆっくりと眺めていられます。

お部屋 基本情報
| 予約 | デラックスルーム(ツイン・約50㎡)→ 当日UG |
| 実際の部屋 | プレミアデラックスルーム(キングベッド)/424号室・4階(最上階) |
| ステータス | ヒルトン・オナーズ ダイヤモンド |
| テーマ素材 | 唐紙 |
| 眺望 | 高雄の山・水盤(紅葉ビュー) |
| 設備 | ネスプレッソ/鉄瓶・茶器/ミニバー/HDMI・USB・AC電源パネル |
バスルーム・アメニティ ─ 大理石の浴槽とレインシャワー
このホテルの大きな売りのひとつが、浴室の高級感だと思います。水まわりはダークトーンのタイルと石でまとめられ、旅館ともシティホテルとも違う独特の落ち着きがあります。
ここが高級!浴室の見どころ
- 浴槽:足を伸ばしても十分な広さ、しかも大理石造りで格上感
- レインシャワー:高級ホテルの代名詞(と勝手に思っている)が頭上に完備
- 洗面:ツーボウル+巨大ミラー、拡大鏡も。二人並んでも窮屈さなし



洗面はツーボウルで広さも十分。ミラーは巨大で、拡大鏡も完備されています。石を削り出したような洗面ボウルが印象的で、二人で並んで身支度をしても窮屈さを感じません。


バスアメニティは、オーストラリアのナチュラルスキンケアブランド Sodashi(ソダシ)。植物由来の成分とエッセンシャルオイルを使うのが特徴で、使い心地もとても良かったです。ドライヤーはリュミエリーナの 「レプロナイザー(REPRONIZER)」。ROKU KYOTOロゴ入りの巾着に収められ、細部までもてなしが行き届いています。

THE ROKU SPA ─ 天然温泉とサーマルプール
ROKU KYOTOの大きな魅力が、天然温泉とサーマルプールを備えていることです。都心のホテルにはない“湯のある滞在”ができます。スパのテーマ素材は「陶」。夜、ライトアップされた水盤は昼とはまるで違う静謐な表情を見せてくれます。

……とはいえ、今回は温泉もジムもプールも利用しませんでした。部屋で過ごす時間があまりに心地よく、つい後回しに。次に訪れたときには、ぜひ朝の温泉から紅葉を眺めてみたい——これは次回への宿題にしておきます。
レストラン「TENJIN」─ テーマは「竹」
夜は館内のレストラン TENJIN でディナーコース「麓 -ROKU-」をいただきました。金色のカトラリーが並ぶテーブルセッティングから、すでに特別な時間が始まります。シェフは Akira Taniguchi(谷口 昭)氏。京都の食材をフレンチの技法で仕立てる、土地に根ざしたコースです。

ディナーコース「麓 -ROKU-」構成
| 皿 | 内容 |
|---|---|
| アミューズ | ― |
| 前菜① | カンパチ/柿/胡桃 |
| 前菜② | 茸/卵黄/ラヴィオリ/京鴨 |
| 魚料理 | スズキ/クロケット/グリビッシュソース ・ ノルウェーサーモン/ナージュ/香草 ・ 真鯛/ヘーゼルナッツ/トリュフ |
| 肉料理 | 京都ポーク/玉葱/チョリソー ・ 丹波鹿/カイエット/南瓜 ・ 京鴨/里芋/珈琲 ・(+¥2,500)国産牛フィレ/リヨネーズ/シラーソース ・(+¥5,500)和牛フィレ |
| デザート | 無花果/和栗/ヘーゼルナッツ ・ 薩摩芋/水尾柚子/京番茶 ・ 林檎/アールグレイ/バニラ ・(+¥1,500)ROKU KYOTO 秋のパフェ〜丹波栗モンブラン〜 |
| 締め | 自家製ハーブティー |
表示価格にはサービス料15%・消費税10%が含まれます。



京都ポーク、丹波鹿、京鴨、水尾の柚子……地の食材が一皿ごとに主役になっていくのが楽しいコースです。もともと魚好きというフィルターがかかっているのは否めませんが、なかでもスズキがとびきり美味しかったです。ふだんの「空腹を満たすための食事」とはまるで違い、ゆったりした時間とおしゃれな空間の中で味わう料理は、それだけで充実したひとときになります。今回はアルコールを頼まず、炭酸水を選びました。皿数の多い本格コースながら、竹をテーマにした静かな空間と川のせせらぎのおかげで、緊張しすぎずに最後まで楽しめました。
朝食 ─ 京鴨がゆと紅葉のダイニング
翌朝のダイニングは、大きな窓いっぱいに紅葉が広がる特等席です。朝食は ROKU BREAKFAST(¥6,300) または ハーフビュッフェ を選べ、メインは京都らしいシグネチャーから1品選びます。

選べるメインディッシュ(一部)
- ROKU 京鴨がゆ… 京鴨卵の出汁巻き・京鴨そぼろ餡・自家製漬物(シグネチャー)
- ROKUオリジナル 湯葉餡かけうどん… 根菜の餡かけ・半兵衛麩の汲みあげ湯葉・九条ネギ
- ROKUセレクト 秋オムレツ(カボチャ・ほうれん草/骨付きソーセージ)
- 丹波鹿ラガーのエッグベネディクト(京都美山産 鹿肉ラグーソース)
- フライドエッグ
私が選んだメインは 「京鴨がゆ」。旅行中の食事はどうしてもジャンク寄りになりがちなので、お腹に優しいものをと思ってのセレクトでしたが、味も上品で美味しく、次もこの路線で選ぼうと思える一品でした。


ビュッフェ台の品数は決して多くはありませんが、量より質という潔さがあります。オリジナルのドリンクがあったり、野菜が新鮮だったりと、一つひとつが美味しくて満足感があります。そして甘党の私が特に気に入ったのが、オーダーを受けてから目の前で焼き上げてくれるフレンチトースト(抹茶アイス添え)。焼きたてのぜいたくに、ついおかわりを重ねてしまいました。紅葉を眺めながらの朝食は、この立地ならではの贅沢でした。


まとめ ─ “観光する京都”ではなく“静けさに滞在する京都”
ROKU KYOTOは、名所を巡るための拠点ではありません。ホテルそのものが目的地になる場所です。紅葉の山、水盤のリフレクション、土地の食材を映したコース、そして(今回は入りそびれましたが)天然温泉。京都の「静けさ」を、ラグジュアリーというかたちで一泊に凝縮しています。
今回“も”ヒルトンの無料宿泊券を利用したので、宿泊代金はゼロでした。ですから価格と内容を天秤にかけての評価はできないのですが、限りある宿泊券を惜しみなく使う価値のあるホテルであることは、自信を持って断言できます。今後も定期的に利用したいですし、いつか記念日のようなタイミングで、上のグレードの部屋を有償で泊まってみたいとも思わせてくれます。
まとめ|こんな人におすすめ
- 特別な日にラグジュアリーな気分を味わいたい若いカップル
- 都会の喧騒を忘れてゆっくり過ごしたいひとり旅の方
- 子育てに目処がついて二人の時間を取り戻したいご夫婦
静けさに滞在する京都として、自信をもっておすすめしたい一軒です。